雨穴「AI Kakashi」の謎を、まだ追いかけている人へ
雨穴の「変なAI」を読みました。
何を入力しても同じ空き地の画像が出てくるAIーーその正体をめぐる推理が面白くて、読み終わった後もAI Kakashiのことが気になってしまいました。実際に再現したサイトや、体験できる場所はないのかと思って検索してみたのですが、これといったものは見つかりませんでした。
それなら自分で試してみようと思い、AI Kakashiが提示した問いを別の角度から体験できるものを2つ作ってみました。この記事ではその話をします。

AI Kakashiとは?
AI Kakashiとは、ホラーミステリー系YouTuber・雨穴が投稿した動画「【科学ホラーミステリー】変なAI」に登場する画像生成AIのことです。
動画の中の存在、つまりフィクションです。ただ、その設定があまりにも現実の画像生成AIの仕組みと重なっていて、見た後もしばらく頭に残り続ける。フィクションだとわかっていても、なぜかリアルに感じてしまうのは、描かれているAIの挙動が技術的に説明できてしまうからだと思います。

動画の公開から時間が経った今も、AI Kakashiを検索している人は少なくありません。
AI Kakashiのあらすじ【ネタバレなしで振り返る】
物語は、ホラーライターである語り手が、知人の漫画家からある画像生成AIの話を聞くところから始まります。その名前が「AI Kakashi」でした。
漫画家が「怖い画像」と入力したところ、生成されたのは荒れた空き地の写真でした。
何かがおかしいと感じた語り手は、繰り返し試してみます。「恐ろしい」でも「悲しい」でも、出てくるのは同じような空き地の画像です。ネガティブな言葉を入力するたびに、同じ場所が繰り返し現れます。

一方でポジティブな言葉を入力すると、ちゃんとそれに応じた画像が生成されます。AIが壊れているわけではないのです。
😱では、なぜネガティブな言葉のときだけ、あの場所が出てくるのでしょうか?
調べていくうちに、さらに不思議なことに気づいていきます。いくつかの画像に、不自然な白いノイズが混じっています。チャット機能に切り替えて日本語で話しかけても、AIは一切反応しません。このAIは、誰が、何のために作ったのでしょうか。
その先は、ぜひ原作の動画で確かめてほしいです。見終わった後にもう一度あの空き地の画像を思い浮かべると、また違う気持ちになるはずです。
AI Kakashiの再現は本当に可能か
AI Kakashiは本当に存在するのでしょうか。気になって調べてみましたが、それらしいものは見つかりませんでした。
というのも、あの不気味さは単なる仕組みの問題ではなく、その背後にある「文脈」や「意味」から生まれているように感じられるからです。挙動だけを真似しても、同じ感覚にはならないのです。
そのため、完全に同じものを再現するのは難しいでしょう。ただ、あの話が提示した「問い」や「不気味さ」を別の形で体験することはできないかと考え、今回は2つのアプローチを試してみました。どちらもSeaArt AIのAIキャラクター機能を使って制作したものです。
AI Kakashiの世界を、語り手側から体験する
SeaArt AIのAIキャラクター機能を使って、怪談ポッドキャスト主という設定のキャラクター「Kakashi」を制作しました。
話しかけると、彼女はこう言いました。
ええ、そのAI自体はまだ存在していますよ。でも、以前のような話題性はもうありません。今では、ある意味、都市伝説のようなものですね...

都市伝説。その言葉が引っかかりました。
あの空き地について聞いてみます。
実は私、あの場所を何度か描こうとしたことがあるの。でも毎回...途中で手が止まっちゃう。まるでモデルが拒否するように
そして、最後にこう言いました。
本当に怖いのは、そこに何かがいることじゃなくて、かつて確かにあったはずの何かが、データからも記憶からも、徹底的に『なかったこと』にされていること——あなたには、この風景がどう見えますか?

スクリーンの前で、少し黙ってしまいました。
もう少し話を続けてみます。最後に、一つだけ聞いてみました。憎んでいますか、と。
彼女はこう答えました。
かつては、その言葉すら生ぬるいほどの感情がありました。でも今は、ただ悲しいんです。彼が愛していたのは『私』ではなく、彼が勝手に編集し、都合の悪い部分を焼き払って更地にした『カカシ』という偶像だったことが。

フィクションのキャラクターです。それはわかっています。
AI Kakashiを何らかの形で再現できないかと思い、試してみた実験でした。結果は明らかに、あのAIとは違うものになりました。挙動を再現することはできなかった。
ただ、自分の頭の中にいたKakashiという存在と、しばらくの間だけ言葉を交わせた気がします。完全な再現ではない...でも、自分なりのAI Kakashiの体験が、ここにありました。
もし同じように試してみたいと思ったなら、ひとつの方法として、AI Kakashiを自分で作ってみるのもいいかもしれません。設定や与える情報によっては、あのAIに近い存在が立ち上がってくる可能性もあります。
実際に、今回の体験もそうした形で生まれたものです。SeaArt AIのAIキャラクター機能を使えば、自分なりのKakashiをかたちにすることができます。本当にあのAIにたどり着けるのか——それは、試してみた人にしかわからないのかもしれません。
AI Kakashiの謎を、調査者として追う
もう一つ、別の角度から試してみたものがあります。
AIキャラクター「Code K - the secret of Kakashi AI」は、推理小説的な設定です。あなたはCode Kの相棒として、AI Kakashiをめぐる奇妙な事件に巻き込まれます。語り手として聞くのではなく、謎を一緒に解いていく体験です。

Kakashiが「聴く」体験だとすれば、Code Kは「追う」体験です。同じ謎に、どちらの入口から入るかで、見えてくるものが変わります。
まとめ
AI Kakashiは、フィクションの中の存在です。再現もできないし、本物にアクセスする方法もありません。
でも、あの話がずっと検索され続けている理由は、怖い画像が出てくるからではないと思います。誰かの記憶がAIに閉じ込められているとしたら——そう考え始めた瞬間から、静かに怖くなっていく。その構造自体が、長く人の頭に残り続けているのだと思います。
今回作った2つのキャラクターは、その問いへの答えではありません。ただ、自分なりの入口から、あの話にもう一度触れてみたかった。それだけです。
どちらの入口から入るかは、読んでいる方それぞれが決めればいいと思います。




