Wan 2.6 vs Veo 3.1:動画クリエイター向け徹底比較
2025年末、AI動画生成の競争がさらに面白くなってきました。Wan 2.6とVeo 3.1は、同じ「動画生成」でもアプローチが大きく異なります。Wan 2.6は動画・画像・音楽をまとめて作れる“マルチメディア制作スタジオ”型である一方、 Veo 3.1は、映画的な映像品質とネイティブ音声、そしてプロ向け編集ワークフローを重視する“フィルムスタジオ”型です。
では最大の違いは何でしょうか?Wan 2.6は15秒のマルチショット(複数カット)、動画参照によるキャラクター一貫性、さらにフル尺の音楽生成(3〜4分)に強みがあります。Veo 3.1は、ネイティブ音声の同期、短尺のフォトリアル動画、そしてIngredients to Video(素材から動画へ) やFrames-to-Video(フレームから動画へ) といった機能で、編集・制作フローを強化しています。
本記事では、動画クリエイター向けにWan 2.6とVeo 3.1を、価格・制作フロー・機能面から比較し、ミュージックビデオ、SNS向け、シネマティック制作など用途別にどちらのAI動画生成ツールが合うかを整理します。

Wan 2.6 vs Veo 3.1:クイック比較
| 項目 | Wan 2.6 | Veo 3.1 |
|---|---|---|
| 得意分野 | マルチメディア制作(動画+画像+音楽) | シネマティックな動画生成 |
| おすすめ | 音楽制作者、SNS、複数キャラのシーン | 映画制作者、商用制作、企業 |
| 動画の長さ | テキスト/画像→動画:5/10/15秒、動画参照:5/10秒のみ | 4/6/8秒(延長可能) |
| 音声 | 3〜4分の楽曲生成(フル曲) | ネイティブ音声同期(環境音・セリフ・効果音) |
| 解像度 | 480p/720p/1080p | 1080p / 24fps |
| 独自機能 | 複数キャラ協調 | フレームから動画へのトランジション |
| 価格 | 0.05〜0.15ドル/秒(約7.5~22.5円) | 19.99ドル/月(約3,000円) |
要点:マルチメディアの物語制作と音楽制作ならWan 2.6。映画品質とプロ向け制作フローならVeo 3.1。
参考ドキュメント
Alibaba Cloud Wan 2.6公式ドキュメント
1. Model Studio - Supported Models
Alibaba Cloud Model Studioで利用できるWan 2.6と他のモデル一覧
🔗 https://www.alibabacloud.com/help/ja/model-studio/models
2. Billing for Model Studio
BillingのWan 2.6動画・画像生成に関する料金の公式説明
🔗 https://www.alibabacloud.com/help/ja/model-studio/billing-for-model-studio
Google Veo 3.1公式ドキュメント
1. Veo 3.1 Video Model Preview
Google Cloud Vertex AI上のVeo 3.1の機能・能力の公式紹介。
2. Veo + Flow Updates Announcement
Veo 3.1とFlowの更新(音声とナラティブ制御の改善など)に関する告知
🔗https://blog.google/intl/ja-jp/
Wan 2.6 とは?
Wan 2.6は、動画+画像+音楽を1つの環境で作れるマルチメディア制作スタジオのような存在です。2025年12月16日にグローバル公開され、単一メディア特化ではなく、3つの生成エンジンを統合している点が特徴です。
主な機能:
- 15秒マルチショット(複数カット)生成:自然なカット切り替えやテンポ感を意識した生成で、単一ショットにありがちな「止まったようなシーン」になりにくい設計。
- 動画参照によるキャラクター一貫性:Wan 2.6の大きな差別化ポイント。画像1枚ではなく動画入力からキャラの動きや特徴を抽出。参考動画を1〜2本(ソロまたは2人の協働)アップロードし、人間、カートゥーン、物体などを対象に、その外見・声質・動作パターンを捉える。入力条件:MP4/MOV、各2〜30秒、最大30MB/本。
- フル尺の音楽生成(3〜4分):イントロ/Aメロ/サビ/アウトロ構成を含む楽曲を生成できる。独唱・デュエット・コーラスに対応し、ジャンル、感情、楽器編成、言語(中国語/英語/日本語/韓国語)を指定可能。
- 複数キャラクターの協調:複数キャラ、例えば人間と熊、人間とアニメキャラなどが同時に絡むシーンを生成可能。参考動画1〜2本に対応。参考動画を2本使う場合、プロンプトでは「character1」「character2」として扱う。
- ボイス抽出・音声同期:音声トラック付きの参考動画から声の特徴を抽出し、外部ツールと組み合わせて特定の声(例:映画スター風)を合成する用途も想定。
- 画像生成(文字レンダリング対応):動画の補助ではなく、画像単体生成も可能。ポスターやイラスト、商品モックなどでテキスト表現を扱える。
- 多言語の音楽生成:中国語/英語/日本語/韓国語で、自然な歌声と歌詞フローの楽曲が生成する。

Veo 3.1 とは?
Veo 3.1を一言で言うと:プロ向けフィルムスタジオです(撮影表現+ネイティブ音声+高度な編集)。
Google AI Proで現在利用可能なVeo 3.1は、映像制作者や企業向けにプロ品質の動画生成を提供します。Google DeepMindのAI/MLの知見を背景に、映画的な忠実度、プロンプト遵守、そしてFlow(フロー)編集プラットフォームによる制作コントロールを重視しています。
主な機能:
- 最大8秒のフォトリアル動画:リアルな質感、光、色調を重視し、現実的な物理表現やプロ向けのカラーに最適化。
- ネイティブ音声生成:環境音、雰囲気音楽、会話、効果音などを動画に同期して生成(リップシンク含む)。
- Ingredients to Video(素材から動画へ):参照画像を1〜3枚アップロードして、キャラクター/物体/スタイルを制御。ブランド一貫性や特定のビジュアル維持に適する。
- Frames-to-Video(フレームから動画へ):開始フレームと終了フレームを与え、その間の遷移を滑らかに生成。芸術的なトランジションや壮大な導入カットに向く。
- Extend(拡張):8秒クリップを延長し、60秒以上の長尺にすることも可能。
- Insert & Remove(挿入/削除):フロー上で要素挿入(影や光も自然に)。オブジェクト除去は近日提供する予定。
- 企業向け統合:開発者向けGemini API、企業向けVertex AI、消費者向けGeminiアプリ、制作向けFlowで利用可能。

Wan 2.6 vs Veo 3.1:機能の深掘り比較
1. 動画の長さと物語コントロール
Wan 2.6:
- テキスト/画像→動画:5秒・10秒・15秒を一括生成
- 動画参照モード:5秒・10秒のみ
- マルチショット生成:シンプルなプロンプトでもカット切替を賢く作ってくれる
- 長尺化:複数クリップのつなぎ合わせが前提
Veo 3.1:
- 基本生成:1クリップ4秒・6秒・8秒(映画品質)
- Extend機能:動きや流れを自然に継ぎ足してより長い尺に
- 長尺化:複数回に分けて拡張(パスを重ねる)する必要あり

勝者:どちらも(制作フロー次第)
- Wan 2.6の強み:テキスト/画像モードなら、最大15秒を一発生成でき、マルチショットの転換も込みます。
- Veo 3.1の強み:8秒のベース品質が高く、さらに延長時のつながり(連続性)が良いこと。
どちらも「長編をワンクリックで一気に生成」できるタイプではありません。長めのクリップを一度で作りたいならWan 2.6、短尺でも品質と延長のしやすさを重視するならVeo 3.1が合います。
2. 音声機能:音楽生成vsネイティブ同期
ポイント:Wan 2.6は“曲そのもの”を作れるのに対し、Veo 3.1は“映像に同期した音”を作るのが得意です。
🌟 Wan 2.6:音楽を単体で生成
動画の音声同期に加えて、Wan 2.6には次のことができます。
- 3〜4分のフル楽曲:Aメロ/サビ/ブリッジ構成を含む完成形の曲(単なるBGMではない)を生成。
- 音楽単体で生成可能:動画プロジェクトと切り離して曲単体で生成。
- 音楽先行の制作:先に曲を作って、後から映像を合わせるワークフローが取りやすい。
デメリット:曲の長さが 3〜4分で固定され、尺を自由に変えられないこと。
🌟 Veo 3.1:機能全体で音声が統合
単なる同期にとどまらず、Veo 3.1は音の扱いが一段強い、という位置づけです。
- モードをまたいでも音が自然:Ingredients/Frames/Extend でも、音声生成が一貫してスムーズ。
- リップシンクがリアル:話すキャラの口の動きが自然で正確。
- 空間表現が強い:環境音などがプロっぽい立体感で作られる。
デメリット:曲単体は作れない。音は基本的に動画出力とセットになる
勝者
- 👉 ミュージックビデオ制作者/ミュージシャン:Wan 2.6(フル尺の曲が作れる)
- 👉 シネマ作品/会話中心のシーン:Veo 3.1(音と映像の同期が強い)
音楽主導のコンテンツなら Wan 2.6 がハマります。映画的な雰囲気や会話シーンの表現を重視するなら、Veo 3.1のネイティブ音声同期が有利です。
3.キャラクター参照&一貫性
🌟Wan 2.6:動画ベースの“動的”参照は
最大の強み:外見だけでなく、動きや声まで取り込める点。
技術仕様:
- 入力:動画 1〜2本(MP4/MOV、2〜30秒、各最大30MB)
- 参照に使える尺:1本の場合=最大 5秒、2本の場合=各 2.5秒 まで
- プロンプト表記:「character1」「character2」のタグを使用
- 対応対象:人物、カートゥーン、ペット、物体 など
活用例:ペットの動画をアップロードし、同じペットが違う動きをするシーンを生成します。動きの癖や性格っぽさを保ちながら、別のアクションをさせられます。
🌟Veo 3.1:画像ベースの“静的”参照
最大の強み:シーンが変わっても、ビジュアルのスタイルを精密に揃えやすい点。
技術仕様:
- 入力:静止画 1〜3枚(素材から動画へ機能)
- コントロールできる要素:キャラクターの外見、物体のスタイル、シーンの雰囲気
- 得意分野:ブランドの一貫性、特定のビジュアルテイストの固定
活用例:商品写真をアップロードし、商品の見た目とブランドのビジュアルアイデンティティを崩さずに、マーケティング動画を生成します。
勝者
- 👉 動的なキャラ表現&複数キャラの場面:Wan 2.6
- 👉 視覚スタイルの精密コントロール:Veo 3.1
Wan 2.6 は動画参照で動きと声まで拾えるため、キャラクター主導のストーリー作りに効きます。Veo 3.1 の画像参照は、演技(動き)まで求めない場合に、見た目の一貫性を保つのに向いています。
4. クリエイティブコントロールと制作ワークフロー
🌟Wan 2.6:プロンプト中心のマルチメディア制作
ワークフローの思考回路:テキストプロンプトで素早く回して試行錯誤。
ツール:
- 複数キャラのタグ指定:2人のキャラを別々に指示(例:「character1が歌い、character2が踊る」)。
- クロスメディア生成:同じプラットフォーム内で、動画・画像・音楽をまとめて作れる。
- スマート・マルチショット:シンプルなプロンプトから、AIがカット割りを自動で組み立てる。
🌟Veo 3.1:プロ向け編集スイート
ワークフローの思考回路:フレーム単位の精密コントロール
ツール:
- Frames-to-Video(フレームから動画へ):開始/終了フレームを指定して滑らかなトランジションを生成。
- Insert & Remove( 挿入/削除):生成済み動画内編集ができる(リアルな光・影でオブジェクトを挿入/削除機能は近日提供予定)。
- Flow(フロー):複雑な編集ワークフロー向けUI。
- エンタープライズAPI:Gemini API+Vertex AI によるスケーラブルな運用。
勝者
- 👉 台本主導のナラティブ&高速反復:Wan 2.6
- 👉 細かい編集&フレーム精度のコントロール:Veo 3.1
シーンを言葉で説明して短時間で形にしたいなら、Wan 2.6 のほうが手早く進められます。フレーム単位で詰めたり、プロ向けの編集で仕上げたいなら、Veo 3.1 のツール群が強みになります。
5. 画像生成機能
🌟Wan 2.6:画像を単体で生成できる
- ✅ 文字レンダリング:画像内のテキストをきれいに載せられる。
- ✅ 用途:ポスター、イラスト、商品パッケージのデザインなど。
- ✅ 複数被写体の一貫性:EC用途やコミック風のシーンでも、キャラクターの見た目を崩しにくい。
- ✅ Internal Reasoning(内部推論):テキストとビジュアル要素の関係性を理解して生成。
動画の補助機能ではなく、画像を独立して作れるのがポイントです。
🌟Veo 3.1:動画特化プラットフォーム
- ❌ 画像の単体生成はなし。
- ✅ 参照画像として利用:画像は動画生成の入力として使える。
- 方向性:動画制作に特化。
勝者
- 👉 動画+画像などクロスメディアで作りたい:Wan 2.6
- 👉 動画生成に専念死体:Veo 3.1
動画と画像の両方が必要な制作フローなら、Wan 2.6 は別ツールを併用する手間を減らせます。
6. 価格と利用しやすさ
Wan 2.6の料金(Wan 2.5と同等)
秒課金
- 1080p:1秒あたり0.15ドル(約22.5円)
- 720p:1秒あたり0.10ドル(約15円)
- 480p:1秒あたり0.05ドル(約7.5円)
例:10秒の1080p動画=1.5ドル(約225円)
補足:動画参照入力は参照時間に基づき課金(最大:単体5秒/2本なら各2.5秒)。無料テスト枠:画像50枚、動画50秒。
Veo 3.1の料金
| プラン | 料金 | 月間クレジット | Veo 3.1アクセス |
|---|---|---|---|
| 無料枠 | 無料 | 限定 | ❌不可 |
| Google AI Pro | 月額19.99ドル(約3,000円) | 1,000 | ✅限定 |
| Google AI Ultra | 月額124.99ドル*(約18,750円) | 25,000 | ✅フル |
*最初の3か月は50%オフ、その後は月額249.99ドル(約37,500円)。
利用経路:
- Geminiアプリ(一般向け)
- Gemini API(開発者向け)
- Vertex AI(企業向け)
- Flow(映像制作ワークフロー)
勝者
- 👉 低予算・従量課金で試したい:Wan 2.6(1秒0.05〜0.15ドル、約約7.5~22.5円)
- 👉 企業・大量制作:Veo 3.1(サブスク+API)
選び方:プロジェクト目的別のヒント
✅ Wan 2.6 を選ぶなら:
音楽クリエイター/ミュージシャン
- 3〜4分のフル尺楽曲を生成でき、ボーカル、ジャンル、言語(中国語・英語・日本語・韓国語)などを指定可能。
- 映像と同期したミュージックビデオ制作に向く。
- 音楽主導のコンテンツ向けに作られており、競合が少ない。
SNSクリエイター
- TikTok/Reels/YouTube Shorts に合う15秒のマルチショット動画。
- 複数キャラクターの共演シーン(人間+カートゥーン+物体など)。
- 秒課金でコストを抑えやすい(1秒あたり 0.05〜0.15ドル、約7.5~22.5円)。
EC/マーケティング
- テキストを載せた商品デモ動画。
- カスタムサウンドトラック付きのクリエイティブ広告(SNS広告など)。
- 1つのプラットフォームで 動画+画像+音楽をまとめて作れるクロスメディア制作。
✅ Veo 3.1 を選ぶなら:
映像制作者/プロフェッショナル
- 映画的な 1080p/24fps、フィルム級の照明と色合い
- プロ向け編集機能(フレームから動画へ、挿入/削除など)
- Extend(拡張)でより長いシーケンスに拡張可能。
- 関連情報:Kling 2.6 vs Veo 3.1も参考にしてください
商用制作
- フォトリアルで高品質な広告映像。
- ネイティブ音声同期(環境音、会話、効果音)。
- プレミアムな制作価値でのブランドストーリーテリング
開発者/企業
- Gemini API と Vertex AI による エンタープライズ向けAPIアクセス。
- 実績ある信頼性を前提にしたスケーラブルな制作基盤。
- 充実したドキュメントと Google エコシステム連携。
- Google AI Pro(月額19.99ドル)で現在利用可能。
よくある質問
1. Wan 2.6はSunoやUdioのように音楽を作れますか?
はい。3〜4分のフル尺楽曲を、イントロ/Aメロ/サビ/アウトロ構成で生成できます。ボーカル、ジャンル、言語(中国語/英語/日本語/韓国語)、楽器編成をプロンプトで指定可能です。一方で、Veo 3.1は音楽生成は行わず、動画に合わせた環境音などの同期が中心です。
2. 少量制作ならどちらが安いですか?
Wan 2.6のほうが、従量課金(1秒0.05〜0.15ドル、約7.5~22.5円)で低頻度利用に向きます。例えば、10秒の1080p動画は1.50ドル(約225円)かかります。Veo 3.1は最低でも月額19.99ドル(3,000円)が必要です。
3. 15秒のTikTok動画を1回で作れますか?
Wan 2.6だと15秒を1回で生成可能(マルチショット転換)ですが、Veo 3.1の場合は1クリップ最大8秒のため、Extend(拡張)等で長尺化する複数手順が必要です。
4. SeaArt AIで使えますか?
SeaArt AIは主流な動画AIプラットフォームを統合しています。対応モデルや機能の最新状況はプラットフォーム側で確認してください。
まとめ
万能なツールはありません。どちらが「より良いか」は、制作フロー次第です。
音楽生成+15秒マルチショット+動画/画像/音楽の一体制作を重視するならWan 2.6。映画品質+ネイティブ音声+編集前提の制作ワークフローを重視するならVeo 3.1。
最終決定の前に、 SeaArt AIにアクセスし 、実際のプロンプトで小さく検証し、コスト・生成速度・品質を比較するのがおすすめです。
